六代目山口組分裂抗争が生んだ悲運―絆會若頭・金澤成樹という“俠”の生き様【山口組特別取材班】

六代目山口組の分裂抗争が生んだ新組織・絆會。その若頭を務めた金澤成樹被告は、殺人未遂や殺人事件で逮捕され、今や実行犯として極刑も視野に入る立場にある。だが彼の素顔を知る関係者の証言は、義理に生きた“俠”の姿を浮かび上がらせる――。
UL編集部 2025.11.26
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事件前の金澤若頭の様子

事件前の金澤若頭の様子

 「殺人未遂で全国指名手配されて、その最中に起こした殺し2件の容疑で逮捕されてるんだ。しかも、指名手配された殺人未遂だって、1発目が空砲だっただけで、金澤氏は本気でタマを取る気だったはず。たらればを言っても仕方ないが、織田氏が進むべき道さえ間違えなければ、金澤氏はヤクザとして世に名を馳せた人物だっただろうな……」

 業界に詳しい関係者がこう語る金澤氏とは、現在、殺人未遂1件、殺人2件などの罪で身柄を拘束されている絆會若頭・金澤成樹被告のことだ。裁判はまだ始まっていないが、起訴された罪状だけを見ても、金澤被告が生きて社会に復帰するのは困難だと言えるのではないだろうか。殺人未遂1件と殺人2件。極刑を言い渡されたとしても、決しておかしくはない重大事件を起こしているのである。

 それだけに、罪状から金澤被告を思うと、その凶悪性をイメージするかもしれない。だが、上記の業界関係者や、金澤被告を知る人物らに話を聞くと、彼の評判は決して悪くない。むしろ、憐れむ声のほうが多い。

織田絆誠との絆が生んだ悲劇

 「織田さんの側近だった人たちが次々と絆會を去っていく中で、金澤さんだけは最後の最後まで織田さんに忠義を果たした人物でしょう。ある人物のもとを金澤さんが訪ねた時、そんな金澤さんを憐れんだのではないでしょうか。“このままだと絆會も織田さんも沈むぞ”と金澤さんに話したそうです。それに対して金澤さんは、“沈む時は織田と一緒に沈みます”と応えたと言われています。その後、移籍をめぐるトラブルから金澤さんは殺人未遂で全国に指名手配され、翌年の2021年には警察庁から重要指名手配されることになりました」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 金澤被告が全国指名手配された事件とは、2020年9月に長野県で起きた発砲事件のことだ。その経緯も複雑を極めたと、別の地元関係者は語る。

 「金澤さんのことは、みんな好きだったと思います。事件の舞台となった長野県では、当時、金澤さんが率いていた竹内組を中心にバーベキューをやったり、花見を盛大にやったりしていました。その歯車が狂ったのは、今となっては織田さんの優柔不断さにあったのではないでしょうか。金澤さんは織田さんに心酔していました。電話の話し方なんかも織田さんに似ていましたし。もし織田さんがカタギになるようなことを仄(ほの)めかさなければ、他の側近たちも織田さんのもとを離れなかったと思います」

 ここまで度々名前が出てきた「織田さん」とは、現・絆會会長の織田絆誠氏のことだ。六代目山口組が分裂した際に一躍脚光を浴び、一時は時の人として話題になったのが織田会長である。

 織田会長はそもそも神戸山口組の切り込み隊長のような役割で、現場の最前線に立っていた。だが、それも長くは続かなかった。突如として神戸山口組から離脱し、絆會の前身となる第三の組織を立ち上げると、神戸山口組・井上邦雄組長を舌鋒鋭く痛烈に批判したのだ。その結果、織田会長は神戸山口組から命を狙われる危機に晒され、その銃弾によって護衛を務めていた絆會組員が命を落とすことになった。そして、絆會の前身組織は一層の衰退を余儀なくされていくことになる。前出の地元関係者が続ける。

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