六代目山口組大物組長の除籍処分から始まった!―カンボジア特殊詐欺ルートの全貌

六代目山口組から除籍処分を受けた大物組長が渡ったカンボジア。その地が今、特殊詐欺の一大拠点となっている。金次第で政治家を買収できる国で構築された「カンボジアルート」は、仲介グループを通じて無数の犯罪グループに開かれた。警視庁が血眼で追うのは、あの元関東連合リーダーの逃走資金を握るとされる人物。その先には、想定外の形で始まったカンボジアと日本の裏社会を結ぶ闇のルートがあるという――。
UL編集部 2025.12.27
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カンボジア・プノンペンの様子と、山口組引退後、同国を拠点とした後藤忠政元組長(画像は後藤氏の著作『憚りながら』(宝島社))

カンボジア・プノンペンの様子と、山口組引退後、同国を拠点とした後藤忠政元組長(画像は後藤氏の著作『憚りながら』(宝島社))

 六代目山口組が分裂した2015年よりも更に前となる2008年10月。六代目体制発足から丸3年が過ぎた時、山口組が大きく揺れ動くのではないかと騒がれたことがあった。

 それが俗にいう「後藤組長事件」である。後藤組長とは、五代目山口組時代に初代宅見組宅見勝組長暗殺後に、最高幹部である若頭補佐に昇格し、六代目体制では舎弟の座に就いていた。

 それまでも、後藤忠政組長の名前はたびたび話題になっていた。日本航空株式会社(JAL)の個人筆頭株主として突如、名前が浮上したり、暴力団を批判した映画『ミンボーの女』をきっかけに配下の組員が同作の監督の伊丹十三氏を襲撃するなど、経済派としても武闘派としても名声を馳せていたのだ。

 運命の悪戯とでもいうべきだろうか。伊丹監督を襲撃した元幹部が、後に後藤元組長をモデルにした映画の脚本チェックを行っていたことは、余り知られていないのではないだろうか。

 他にもノンフィクションライターの溝口敦氏の出版物を巡って、五代目山口組からの使者として溝口氏と交渉したのも後藤元組長であった。

 六代目山口組で舎弟の座布団に座り、この世の春を謳歌しているかのような後藤元組長に暗雲が立ち込めたのは、週刊誌の報道が原因となった。病気を理由に六代目山口組の公式行事に欠席していた後藤元組長が、実は自身の誕生日を祝ったゴルフコンペに出席していたのだ。この会には細川たかし、小林旭といった紅白歌手も参加しており、この報道を受けて、NHKは細川、小林を含めた5人に対して、自社番組への出演を数カ月見合わせる事態になったのであった。

 病気を理由に山口組の公式行事へ参加しなかったことは、五代目体制時代にもあった。その際は、後に後藤元組長事件で名を連ねた元組長とちょっとしたいざこざとなった事があった。病気を理由に当番へと入らない後藤元組長を当時、当番長であった今は亡き組長が咎めたのだ。それに対して後藤元組長は反論し、諍いが生まれたと言われている。

 何にせよ、後藤元組長の病気による公式行事の欠席はこのときが初めてではなかった。だが、それを六代目山口組執行部が問題視したのである。

 結果として後藤元組長は、六代目山口組から破門に近い除籍処分されたことになるのだが、それに10数名の組長らが連判状に名を連ね異を唱えたと言われ、その組長たちも絶縁や謹慎などといった処分を下されることになった。この時、仮に後藤元組長が六代目山口組からの言い渡しに反発して、渡世から引退しなければ、抗争事件へと発展していてもおかしくなかったかもしれない。だが後藤元組長は除籍処分を受け入れて、カンボジアへと渡ったのである。

 六代目山口組が分裂した際、カンボジアの後藤元組長と神戸山口組の上層部とそれに当時、近しい関係にあった元組長が、ある元会長の仲介で会おうとしたことがあった。その元会長とは後藤元組長事件の際、後藤元組長の処分に反発し、六代目山口組から絶縁処分を受けていた人物であった。

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