山口組直参候補だった俠の覚悟―跡目争いの裏に隠された“もうひとつ”の真実【伝説のヤクザ・亀谷容疑者の軌跡⑤】

2026年9月30日、神戸の事件現場
検察側からの論告求刑で無期懲役を言い渡され、判決で懲役20年を言い渡された富士屋ホテル前路上発砲事件(2002年)の時と全く同じであった。 ある人物から要請を受けた弁護士が、神戸連続発砲事件で逮捕された亀谷直人容疑者の元へ私選弁護人を務めるために接見に向かうと、亀谷容疑者は「国選でええ」と言って断っている。
そんな亀谷容疑者は、前回の裁判でも控訴などせず、一審で懲役20年が言い渡されると争うこともなく下獄している。
その刑の確定前に最後の面会に訪れたのが、二代目佐藤組で本部長を務めていた猫組長と、亀谷容疑者が率いた六甲連合で若頭を務めたM氏であった。 亀谷容疑者は刑が確定し、拘置所から刑務所までの移送時に着る服の差し入れを、猫組長に頼んでいたのだった。M氏には、今後の六甲連合の組員たちの身の振り方について、「カタギになりたいもんはカタギになってもええし、好きにしたらええ」と告げたとされている。
初代から二代目へと佐藤組が移行した際、それまで若頭を務めていた細見孝夫組長が二代目に決定したのは、当時、五代目山口組で若頭補佐を務め、飛ぶ鳥を落とす勢いにあった中野会・中野太郎会長の鶴の一声だった。
「跡目はカシラが継ぐもんや」
この中野会長の一言により、佐藤組の二代目に細見組長が就任した。 その細見組長と二代目の座を争ったのが、亀谷容疑者となる。
佐藤組の跡目を決めるあたり、中野会長は、初代佐藤組の主だった幹部を集め、二代目に立候補するのは誰かと尋ねている。
その際に手を挙げたのが、若頭であった細見組長と、初代佐藤組で副組長を務めていた亀谷容疑者であった。それに対して、中野会長が「跡目はカシラが継ぐもんや」と言い放ったのであった。
若頭が跡目を継承するのは当然のことなのだが、なぜすんなりと中野会長は、細見組長を選んだのか。それは細見組長サイドが、佐藤組の二代目を継ぐために、中野会長に事前に相談へ出向いていたからである。
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